LNGにおける効果的な保守の重要性

タンク及びターミナル, 2024年3月


LNGにおける効果的な保守の重要性

近年、液化天然ガス(LNG)は世界的なエネルギーミックスの重要要素として浮上し、LNGの輸出量は急激に増加しています。2021年には、欧州へのLNGの輸出量は米国単独でも2倍に増加し、2030年までに11%増加することが見込まれる世界的な天然ガスの需要増加に対処するうえでのLNGの妥当性を浮き彫りにしました。LNGは、エネルギー転換における脱炭素化の懸け橋として重要な役割を果たしているため、本記事では、LNGアプリケーションにおける効果的な保守計画に焦点を当てながら、LNGのバリューチェーン全体の効率的なフロー制御の重要性を模索します。

拡大するLNGの可能性

LNG産業は今後大幅に拡大し、2030年までには液化能力が2倍に、再ガス化能力が1.5倍に増加すると予測されています。世界の多くの部分では、この増加に対応するために必要なインフラが課題を抱えています。LNGが脱炭素化の懸け橋として機能するには、液化、再ガス化及び輸送インフラへの多額の投資が必要となります。このようなインフラの拡大は、効果的なフロー制御の重要な役割を強調し、液化、抽出から、再ガス化、輸送、供給までの円滑な動作を保証する信頼性の高いアクチュエータとフロー制御ソリューションをを必要としています。

極低温バルブの課題とソリューション

LNGプロセスの極低温工程では、大量のガスを非常に高圧で輸送し、(アクチュエータを取り付けた)直径36インチから72インチのバルブで制御しています。天然ガスに圧力を加え、圧縮トレインや極低温システムを使用して温度を下げることにより、天然ガスを液化します。バルブ及び関連装置は、極低温(-162℃)に耐え得るものでなければなりません。

316ステンレス鋼は、非常に低温でも強度を維持できるため、基本的に、極低温バルブには316ステンレス鋼が用いられています。潜在的な危険事態を防止し、操作者の安全を優先するため、LNGの流量制御弁は、BS 6364等の厳格な安全基準を遵守していなければなりません。危険が継続する状況では、アクチュエータは安全且つ正確にバルブを操作する必要があります。

このプロセス全体をとおして、高圧ガスに係る固有のリスクを管理するには、堅牢な安全対策が必要であり、緊急遮断システムは、潜在的な危険を管理するうえでの重要要素です。LNGオペレータは、この重要なニーズを認識し、確立された信頼性の高いソリューションに依存しています。1960年代に最初のLNGプラントが建設されて以来、ロトルクは、このような現場における信頼できるパートナーを務めてきました。ロトルクの空圧駆動システムが、大型バルブに、効果的な緊急遮断に必要な高速閉弁機能とトルクを提供しています。

ロトルクの空圧スコッチヨークアクチュエータ(GP及びCP)は、世界中のLNGターミナルで幅広く使用されています。これらアクチュエータは、貯蔵プラントや再ガス化プラント内の極低温ボール弁及びバタフライ弁を正確に操作しています。 GP及びCPは、IP66Mまたは67Mの基準に準拠しており、耐腐食シリンダーを備えているため、LNG産業の過酷な環境に最適です。

 LNGの全サプライチェーンにおいて、高い基準の安全認証が最も重要です。安全度水準(SIL)は、安全システムの性能期待値の基準として機能します。

SILは、潜在的な危険を軽減するために設計された技巧、技術、手順などの幅広い機能安全計画にとって必要不可欠です。ロトルクは、危険プロセスの管理におけるライフサイクルアプローチの重要性を認識しており、GP及びCPアクチュエータの両方がIEC61508に基づく単独運転に関してSIL3認証を達成していることを保証し、危険物質の取扱におけるこれらアクチュエータの効果を証明しています。多くのバルブは、通常運転中は開状態を維持しますが、必要時に確実且つ迅速に閉じる必要があります。これら製品にはロトルクのPIC0システム(高機能部分ストロークテストシステム)を取り付けることができます。

LNG輸送におけるインテリジェントアクチュエータの価値

LNGの最も一般的な長距離輸送方法は、船舶を利用することです。プロセス制御用アクチュエータは、このような特殊船舶に取り付けられています。

例えば、LNG輸送中は、コンテナに封入する液化ガスの流量を安全、確実且つ効率的に制御する方法として、ロトルクのIQアクチュエータ等のインテリジェント電動アクチュエータが用いられています。データロガーから、様々なリアルタイムデータやフィードバック履歴データ(警告、バルブのトルク分布、バルブの作動・運転量など)が入手可能であることもまた、インテリジェントアクチュエータを用いたLNGの流量制御のメリットです。IQレンジは、防爆認証アクチュエータであるため、最も過酷な使用条件でも長期信頼性を発揮します。

その他には、機械的スプリングリターン(またはアキュムレータ)のフェイルセーフ動作の信頼性と、電動運転のシンプルさを兼ね備えた電油式アクチュエータを使用して、LNGの流量を制御する方法もあります。スキルマチックSIアクチュエータは防爆認証を取得しており、一般的に、機能安全に関連する遠隔操作式遮断弁(ROSoV)機能や緊急遮断(ESD)入力に使用されています。このような用途で使用するときのために、スキルマチックSIは、シングルまたはデュアル入力のESDオプションと部分ストロークテスト(PST)機能を備えています。

再ガス化段階におけるアクチュエータの重要性

再ガス化はしばしば、LNGの取り扱いに関して特殊な要件が設けられている沿岸の輸入ターミナルで行われます。アクチュエータの機能は、LNGのバリューチェーン全体をとおして、安全と信頼性の高い動作を約束するうえで、必要不可欠な要素です。自動化されたタンクタームにアクチュエータが設置されているのは、一般的にみられる光景です。このようなアクチュエータは、必須安全要件に適合するために、通常の流量制御、モジュレーティング動作、フェイルセーフ動作を実行しています。 また、インテリジェント電動アクチュエータは、危険状況下では必要不可欠な緊急遮断(ESD)など、安全関連の目的のために、タンクファームでも使用されています。

制御・監視センターはLNGの取扱現場の数百台のアクチュエータを同時に制御するうえで、非常に重要です。ロトルクの「マスターステーション」制御システムは、200,000 m3のLNGを貯蔵するタンク2基、再ガス化施設、LNGタンカーの積み込み・積み下ろしのためのバースを有するペンゲラン深海石油ターミナル(マレーシア)等、世界中のLNG施設で使用されています。

 マスターステーションは、フィールドネットワーク(Pakscan™)を利用して、数百台のインテリジェントアクチュエータを遠隔で管理することができます。この種の技術は、LNG産業において必要不可欠な、信頼性の高いプラントの制御・管理を可能にします。

電動アクチュエータを活用した温室効果ガス排出量削減

LGN産業はサステナビリティに重点をおいているため、電動アクチュエータを使用することは、温室効果ガスの排出量削減に役立てるための戦略的選択肢になっています。電動アクチュエータを用いて天然ガス式空圧装置を改修することは、メタンや揮発性有機化合物(VOC)の排出削減に役立ちます。このような環境を意識した取り組みは、環境フットプリントの低減、制御の向改善、LNG業務の信頼性の向上に貢献しています。

電動アクチュエータを用いることにより、LNGの全工程において、温室効果ガスの排出量を削減することができます。ベルギーでは、ロトルクが液化天然ガスターミナルや、4000kmのパイプライン及び地下貯蔵設備を更新しました。無人のガス減圧ステーションに設置されたボイラーのバタフライ弁を制御するために、IQTパートターンインテリジェントアクチュエータを設置しました。これらのバルブは天然ガスを減圧し、低圧で稼働するネットワークを通過するか、または最終消費者の設備に輸送できるようにしています。

IQTアクチュエータを設置することにより、正確な流量制御、排出量の削減、シンプルなセットアップ、診断、信頼性の高い動作が容易になります。  ロトルクサイトサービスは、様々な場所の既存バルブにIQTを設置しました。これらのIQTは、電源が確保できない場合でも、継続的な開度追跡を可能にしています。IQTは国際防爆規格に準拠しており、IP66または68(水深7m下に72時間)の防水保護等級を取得しています。

現場業務の維持


LNGの流量制御設備は、日常的に、過酷な稼働条件や環境条件で使用されています。 これら資産は過酷な、極端な温度条件で使用され、過度な振動に晒されているため、確実な動作が必要不可欠です。これら資産の効率は、全輸送工程をとおしてLNGを確実に利用できるようにするためのメンテナンスに左右されています。

メンテナンスプログラムを実施するときは、必ず資産の全ライフサイクルをしなければなりません。メンテナンスを実施せずに放置すると重大な危険を招くことがあります。しかしながら、専門のサービスやメンテナンスプログラムを利用することにより、潜在的な陳腐化を効率的に管理し、突然の稼働停止を最小限に抑えながら、現場を最高の効率で稼働させることができます。

メンテナンス不良による資産の故障は、性能の低下、品質及び生産性の低下、出資金の損失、そして環境への深刻な影響を招く可能性があります。現場オペレータの責任は、設備の故障や動作不良に起因する突然の稼働停止を回避するために、業務をできる限り効率的に進行することです。設備の故障は壊滅的な結果に繋がるため、事前に予防策を講じる必要があります。

信頼性向上サービスの段階的アプローチ

 現場で直面する潜在的な問題を管理するには、効果的且つ包括的な現場サービスプログラムが不可欠ですが、このサービスプログラムは手ごろな価格で、簡単に入手でき、且つ顧客のニーズを満たすのに十分な適用性がなければなりません。

ロトルクの信頼性向上サービスのようなサービスプログラムでは、ベーシック、スタンダード、プレミアムのように、段階別アプローチを採用しています。これらサービスプログラムはオーダーメイドサービスであり、稼働停止時間を減らしつつ資産の可用性を向上します。また、ユーザーのニーズに合わせて、選択的に追加アップグレードをすることも可能です。適合性が、現場の機能を一貫して強化し続けるための鍵となるのです。

資産の全ライフサイクルを考慮することが非常に重要であり、老朽化した設備は様々な問題を抱えていることもあります。しかしながら、集中サービスとメンテナンスプログラムにより、陳腐化を管理し、現場を最高性能で稼働し続けることができます。資産のメンテナンス不良は、性能の低下、品質及び生産性の低下、出資金の損失、環境への深刻な影響を引き起こす恐れがあります。設備の故障や動作不良に起因する突然の稼働停止を回避するために、業務をできる限り効率的に進行する必要があります。 設備が故障すると、壊滅的な結果を招きます。

ロトルクが提供する数多くのサービスの1つは、インテリジェントアクチュエータ及びバルブ用のクラウドベース資産管理システムです。 インテリジェントアセットマネジメント(iAM)システムは、様々な状態監視、異常検知、予測診断を可能にし、資産の状態と現実的な洞察を正確且つ明確にユーザーに通知します。

iAMシステムは、特別に開発した解析モデルや、インテリジェントアクチュエータ内に記録されたデータを用いて、ユーザーが効果的にメンテナンス計画を作成し、進行中の問題に適切に対処できるようにするものです。このシステムによって、コストの削減、プラントのリスクの削減、稼働時間の増加が可能になります。

結論

LNG需要が高まる中、これらプロセスには、過酷な状況でも機能し、サプライチェーン全体の総排出量を最小化することが可能な、正確且つ効果的な流量制御が必要です。

LNG事業は複雑ですが、アクチュエータ等の効果的で信頼性の高い流量制御資産を用いることにより、安全、効率的且つ信頼性の高い方法でLNGを生産、輸送、分配することが可能です。

資産のライフサイクル全体を考慮して、システムはフューチャープルーフ化されています。これによって、故障のリスクが低減され、既存の接続部品や制御システムを変更する必要がなくなり、連続稼働能力が向上しました。インテリジェントフロー制御ソリューションはこれまで以上に身近になり、適切な計画を作成することによって、コストや環境への影響を低減しつつ、増益、稼働時間の増加、現場の安全性の向上が可能になりました。

1 International Energy Agency (IEA) report 2021 

 

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